俺の知るあの子は仮面を付けた不思議な子。
仮面には色々種類があるらしく、素顔が見えずとも表情の変化が分かるのだ。
正直凄いと思う。
仮面をいつ付け変えているのか、付け変えてる間に素顔が何故見えないのか謎で仕方ない。
考えてたら気になり出して、いつの間にかあの子を目で追っていた。
普段は笑顔の仮面を付けてることが多いのが分かった。
些細な変化だが微笑のような仮面もあるようだ。
余り怒った仮面は付けることが少ない。
泣いてる仮面もあるのだろうか……、これは見たことがなかった。
あ、照れてる仮面もあるのか。
いつも遠目であの子を眺めてて、こっそり盗み見たりして、観察した。
話したことはまだない。
勇気がない、のかも知れない。
あの子に話しかけて、自分が変な目で見られる勇気がないのかも知れない。
どんな声色で話すのかも知らない。
でもあの子は毎日楽しそうだった。
ある日、茫然と立ち尽くすあの子がいた。
何かを見ていて、そのまま動く気配がない。
いつもの楽し気な雰囲気が感じられなくて、俺はじっとあの子を見つめてしまった。
動いたのは拳のみ、まるで何かに堪えるような握りしめ方だった。
「……あ」
思わず声が出たのは、仮面がこちらを向いたから。
見過ぎたのか、俺は視線を外そうか迷って、思わず出てしまった声に任せて話しかけようと空気を飲み込んでみた。
「こんにちは」
声を発したのは、あの子が先だった。
男なのに情けないとか考える余裕もない。
ただ、とても綺麗な音色の声だなと意識はそっちに流れてしまって戻ってこないのだ。
「そんなに見られてちゃ、照れちゃうなあ」
あの子はそう言って、笑顔の仮面にそっと触れていた。
少し頼りない、震えたような掠れたようなそんな声に、俺は何故か今泣いてるんじゃないかと思った。
直観だけれど。
仮面には色々種類があるらしく、素顔が見えずとも表情の変化が分かるのだ。
正直凄いと思う。
仮面をいつ付け変えているのか、付け変えてる間に素顔が何故見えないのか謎で仕方ない。
考えてたら気になり出して、いつの間にかあの子を目で追っていた。
普段は笑顔の仮面を付けてることが多いのが分かった。
些細な変化だが微笑のような仮面もあるようだ。
余り怒った仮面は付けることが少ない。
泣いてる仮面もあるのだろうか……、これは見たことがなかった。
あ、照れてる仮面もあるのか。
いつも遠目であの子を眺めてて、こっそり盗み見たりして、観察した。
話したことはまだない。
勇気がない、のかも知れない。
あの子に話しかけて、自分が変な目で見られる勇気がないのかも知れない。
どんな声色で話すのかも知らない。
でもあの子は毎日楽しそうだった。
ある日、茫然と立ち尽くすあの子がいた。
何かを見ていて、そのまま動く気配がない。
いつもの楽し気な雰囲気が感じられなくて、俺はじっとあの子を見つめてしまった。
動いたのは拳のみ、まるで何かに堪えるような握りしめ方だった。
「……あ」
思わず声が出たのは、仮面がこちらを向いたから。
見過ぎたのか、俺は視線を外そうか迷って、思わず出てしまった声に任せて話しかけようと空気を飲み込んでみた。
「こんにちは」
声を発したのは、あの子が先だった。
男なのに情けないとか考える余裕もない。
ただ、とても綺麗な音色の声だなと意識はそっちに流れてしまって戻ってこないのだ。
「そんなに見られてちゃ、照れちゃうなあ」
あの子はそう言って、笑顔の仮面にそっと触れていた。
少し頼りない、震えたような掠れたようなそんな声に、俺は何故か今泣いてるんじゃないかと思った。
直観だけれど。
ネタメモ
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